明日のギタマンオケの為に爪を削ることにしたので、どうせなら削り方とその考え方をアップしておこうかなと。
ギターが他の楽器より難しいみたいにマウントを取るつもりは全くないのを予めお断りしておきます。
ギターは右手の指と爪を一本一本使って弦を弾くので、その時の指や爪を当てる角度や動かす速度を変えることで音色を変えられることが特徴でありまする。それ故の難しさも当然合わせ持つことになります。
ギターを始めたばかりの人は利き手ではない左手で押さえるコードフォームが難しいと感じるのはある意味当然ですが、右手が圧倒的に難しいです。(左手が簡単とまでは言えませんが)
左手は音程を作りますが右手は音楽を作ります。左手は職人で右手が芸術家。昔のマニュアルミッションしかない自動車教習所で、最初は坂道発進のクラッチを扱う左足が難しいと感じますが、運転の上手い下手はアクセルとブレーキの右足が重要ですね。なので利き手利き足で扱う側が難しいし、左利きの人はわざわざ左利き用のギターを持つわけですね。
私は、例えば教室の発表会の打ち上げの場で、普段私の演奏を聴いていない別の先生から「音、凄く綺麗ですねぇ」と、よく言われる。
私の先生曰く、「あなたの音色はプロの出す美音と遜色有りませんが、プロは美音を美音として聴かせられるように、敢えてここぞというときの為に美音を取っておいて、それ以外は音色を少し落とすのです」と、言われるくらい美音を出せるのです。ここは自慢です。なので、稚拙な技術しかなくて難易度の低い曲しか弾けないのにコンクールに出ちゃおうかなと思いあがっているわけですね。
自慢はそれくらいにしておいて、音が良いのは生まれつき爪の厚みがあるってのが大きいと思いますが、爪とタッチを常に研究しているからと自分で自負しております。まだ自慢か。まぁいいか。
最初にギター教室に習いに行こうと思ったのは、指の角度などタッチの問題と爪の形の作り方がマッチするところ(どっちを先に固めて次に進むか)さえ教室で教えてもらえれば後は何とかなるだろうという思いがありました。が、自分が思っていた以上に音楽というのは奥が深く、自分は音楽について何も知らなかったと思い知ったのでもう6年通い続けています。
前置きの自慢話はそれくらいにして、爪の削り方を記録しておきます。
まずは削る前の爪です。
芋焼酎をしこたま飲んでいるのでちょっと赤いです。
爪はそんなには伸びていないのだけど、爪の右(親指側)と肉の距離がなくなってきたので、指を弦にセットするときに振動中の弦に爪が当たってキンッって音がするときがあります。こうなっても爪の手入れをしなで放っておくと右手のフォームを崩すという経験もしています。(傷だらけの弦を使っていても崩すよ)
最初に大雑把に短く削る時は人差し指から薬指まで同時にです。弦にセットするイメージで揃えた状態で金属ヤスリに当てて慎重に何度も長さを見ながら焦らず慌てず。
実際には机に置いて左手で固定したヤスリと机の間にティッシュを敷き、この角度で削っていきます。確認するときはヤスリから離して目に近づけてしっかりと。
結構な削り粉が出ます。
するとこんな感じになります。
長さは、弾く時は薬指が一番遠いのでそれが一番長くなるようにバランスを取ります。これは人によって各指の長さの差や関節の曲がる角度が違うので、自分で研究するしかありませんし、先生でも一般論でしか教えられない。音色の先生は自分だけだと思いましょう。削る度に前回はどうやってその結果はどうだったかを踏まえて失敗を繰り返す感じですかね。
上の写真のように角が尖っていると金属的な嫌な音になるのと、弾く時に弦が引っかかったりしてしまうので、それを微調整します。
人差し指だけそうしてみました。親指側の爪の端と指の肉の狭間で振動している弦を捉えます。肉で弦の振動を止めながらそのままスライドして爪に乗せ、傾斜の角度で弦を押し込み、中指側の平たくした広い面積で弦をリリースします。
リリースする位置が中指のように角があると金属的な嫌な音になりますね。
直ぐに弦を弾かなくても肉を弦にセットして待機していることも多いです。あるいは次に弾かない弦なのに鳴っている音を消すため肉で振動を止めるために置きます。爪が伸びてくるとその時にキンッって鳴りますね。
他の指も形を整えます。ここまでは金属のヤスリです。
この時点で爪削りの半分くらいで、まだちょっと荒い状態。
削るのにこれだけ使います。(重複してどちらか一方も含む)
一番左が金属ヤスリ。資生堂の ネールファイルNA 501というヤスリですが、今はもう廃盤という。残念。これは粗削りに使うので、ガラスヤスリとかで代用利くと思います。金属でも爪切りのクルっとひっくり返して使うあれはあまりにも荒いので使わない方が良いです。
その右の大きな白黒が「イージーフロー プロシャイナー キラーホエール」というもの。これに出会わなかったら爪の削り方で音が大きく変わることを知らずに終わったかもしれない。
スポンジ状なので押し付け方で爪の任意の場所を狙えます。なので爪の裏側(指側)のアーチ状のカーブでも滑らかにできるので、これで音が劇的に変わります。今まで爪の裏側を磨かなかったのなら自分で出す音にビックリできるよ。
ただ、デカいのと通販で安く手に入れられないので最初に買ったこれ一本しか持っていなく、それに代わる物を探した結果がその右上の「3M」とプリントされているもの。粘着テープなどでお馴染みのあのスリーエムです。
これはもうスポンジのヤスリです。角で削るシーンが多いのでジグゾーパズル的な形が有難い。赤いのは#400番相当の粗目で、これ以外に#1000番相当の青、#1500番相当の緑と3種類持っていますが、その下にある緑色の長細いのを試して以来、赤の#400だけ使っています。金属ヤスリ程ではないけど赤の#400も粗削り向きで、発表会など家の外へ持ち出す用としています。トイレの時のファスナーやギターケース、バッグなどの金具を扱うときに万が一爪が割れたり欠けたりした時用って感じですな。ただ、ちょっと使うと目が詰まるので常時使うのは面倒。洗うと少し復活しますが、家では金属がベスト。
で、その左下の緑の細長いのが微調整用の主力です。
(株)ウェーブの「ヤスリスティック フィニッシュ細型10枚入」としてあって、型番は『HT-602-450』となっています。
緑の面が粗削り後の凸凹を無くしたり磨くのに丁度よく、力加減でコントロールできる。緑の裏は白になっていて、大きなキラーホエールの白黒の白部分と同じ感じ。緑側で爪が滑らかになったと感じた後でこの白側でこすると、本当に滑らかなら「キュッキュッ」と音がします。しないなら再度もうちょっと緑側で。で、角度を変えながら爪の全域でキュッキュッとしたらそこでやっと完了です。
集合写真の最後の四角はタミヤの#2000というやつで、小さく切っているけど実際はA4くらいのサイズで売っています。大抵のプロギタリストはフィニッシュ用としてこれを言いますね。
でもこれ、なかなか曲者で、紙やすりにしてはしっかりしているのだけど、左の指や爪でアーチを作る必要があり、アーチが合っていないのに力を入れて擦ると大事な右手の爪を割ります。発表会の出番直前にこれをやって割れた爪でキンキンした音になり、弾きながらどうやって爪を使わずに音を出そうかに意識が行ってヘロヘロなとても残念な発表会になりました。使い慣れればそんなことはないかと思うけど、大事なシーンでやっちまっているのでね。スポンジ状だとその心配はほぼゼロ。
他には革の裏とかレシートの印刷面とかも見聞きします、それこそギタリストの数だけ組み合わせるセットがあるかもしれませんね。私もこの記事を写真付きで書いておいて、ちょっと経ったら全然違う道具で違う爪の形になっているかも。
プロの方の場合、出したい音によって爪の形を調整していると想像します。例えばバッハ中心の演奏プログラムと、ロマン派だけのプログラムの時とで爪の形を変えますよと言われても驚きません。
というわけで、長くなっちゃいましたがせっかくなので書いてみました。