本日5/4のクラシックギターレッスン。
先生の前で何度も弾いている曲なのだが、今日初めて指摘されたことが。
「フェルマータの付いている音符のビブラートはその分ゆったりとしなくてはいけない」
その箇所を抜き出した下の写真で、上がフェルマータ付きで下は無し。
曲のメインテーマで何度も出てくる重要なフレーズ。
そのフレーズ中で音程が最も高く、表拍にもなっているのが該当の「ラ」の音なので、他の音より音量も大きく長さも長く取ってビブラートを掛けるのは言われなくても分かっているのだが、フェルマータの有る無しに関わらず全部同じ速度で指を細かく動かして(実際には手のひらを動かす感覚なのだが)ビブラートを掛けていた。
今日初めて言われたのは、やる度にビブラートが違って今日のは目立ったから言うべきと判断されたということかと。
言われたとおりフェルマータにゆったり掛けてみるとこれが意外と難しい。でも確かに音が長くなる分ゆったりさせた方が良い感じなので納得していると、先生が更に私の知らないことを言い始めた。
「フェルマータが付いていても八分音符なので4往復は変えずにって事ね」
は?
「禁じられた遊びみたいな三拍子の曲は3往復」
え?音符の長さでビブラートの動かし方って決まってんすか?
どうも基本はそうらしい。考えてみれば、弾く度に違うよりも基準があった方が間違いない。例えば『禁じられた遊び(有名だけどそれは映画のタイトルで曲名は『ロマンス』あるいは『愛のロマンス』である)は三連符の頭がメロディで、それに掛けるビブラートが3往復だったり5往復だったりマチマチだったらそりゃぁ気持ち悪い。
私の先生は「こうしなさい」という教え方を意識的に避けているようで、こういう話の後には必ず例外を出したり、主流ではない異端だけど成功している人の話をされる。今日聞いたビブラートの話を覚えている限りを箇条書きにしておこう。
- (さっきも書いたが)指を動かすのではなく手のひらや腕全体を動かす
- ネック裏に添えている親指はネックから離してもいい。むしろ離した方がいい
- ビブラートを掛ける指は普通に指先で押さえてもいいが、指の腹で押さえた方がやりやすい
- 均等に掛けるのが基本だが、ヴァイオリニストやチェリストの多くがやるみたいに一旦普通に音を出した後から徐々に大きく揺らしていくのもいい
- ちりめんビブラートと呼ばれるような細かすぎるのはよくないが、それを敢えて意識的に多用していて下品に聞こえない稀有なギタリストがジュリアン・ブリーム
- セゴビアは低音弦のビブラートに上下(エレキギターで言うチョーキングアップ・ダウン)も使っていた(クラシックギターではほぼ使わない)
- ビブラートは音程を揺らす目的もあるが、音を延ばしたい時も効果的。むしろそっちがメインかも
まだあったかもしれないけど私の覚えている限りではこんなとこか。
私はフォークギターを独学で40年弾いた後に5年前からクラシックギター教室に入ったので、「いかにもちゃんと弾けている風」な演奏はできるのだけど、理論やその考察を持たずに、なんとなく弾けている風が続いたまま、自己満足と基本を押さえた上での個性の区別もできていない生半可なギター愛好家に過ぎないのであるなと再認識した。
まぁ仕事以外でも経験豊富な先生を得て学ぶことがまだ残っている人生っていいね。仕事はもう自分の経験を下手に喋ると「老害煩い」で終わっちゃうけどね。